日本最大の多摩少年院に入院した少年の理由は、『振り込め詐欺』が『窃盗』を抜き、第1位となりました(2018年)。
2003年頃に始まり15年がたつ『振り込め詐欺』の被害は、毎日1億円。
しかし、この数字は、氷山の一角だと言われています。

言葉巧みに洗脳され、格差社会ニッポンが生み出した「詐欺の子」となる若者たちの姿を、
複数の事実を基にドラマとドキュメントで紡ぎ出します。

昨年、特殊詐欺で逮捕された未成年者は754人で、過去最多となった事実を知ったこともあって
興味深い内容となった。

【あらすじ】
舞台は2019年の東海地方。一人暮らしの光代(桃井かおり)に、娘をかたる女から詐欺の電話がかかってきた。以前もだまされた経験のある光代は、警察のオトリ捜査に協力。現れた14歳の「受け子」、和人(渡邉 蒼)の逮捕に貢献する。和人を送り込んだのは、「かけ子」の大輔(中村 蒼)と「見張り」の遠山(長村航希)。幼なじみの2人は、詐欺を「老人の『死に金』を社会に還元する義挙」と信じ、和人や玲奈(髙橋ひかる)をはじめとする、未成年の「受け子」を被害者の元へ送り込み、荒稼ぎを繰り返していた。
和人の取調べが進み、遠山も逮捕される。様子を窺うため、裁判所へ傍聴しに行く大輔。するとそこに証人として光代が現れた。大輔は光代の証言を聞くうちに、金銭だけでなく、家族間の絆や生命まで奪われて行く被害者の実態を知る…。

今もすこしづつ変わり続けながら起きている「振り込め詐欺」
これだけテレビなどで取り上げられても被害額は大きい。

ポケモン探しているっていえば、
職質されても大丈夫。
そう教えられて、
「受け子」になりました。

https://www.atpress.ne.jp/releases/180008/LL_img_180008_1.jpg

というキャッチフレーズもなかなかのインパクト。
確かに、街を歩いているとスマホに注目している人が少なくない。
それに「ポケモンGO」を使うとは、詐欺師は策士だ。

ポスタービジュアルの質も高い。
舞台のポスターのよう。制作意図は、

「詐欺の末端にいる若者たちもまた、何者かに騙され、操られており、使い捨てにされる」とのメッセージを込めて17世紀フランスの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの代表作『ダイヤのエースを持ついかさま師』の構図をオマージュとして採用し、ロゴカラーには「裏切りの色」とされる黄色を用いている

というもの。

詐欺の末端にいる若者たちもまた、
何者かに騙され、
操られており、
使い捨てにされる

というメッセージも印象的である。


詐欺の子」の作品自体は、14歳の中学生が”受け子”として逮捕されるところから作品は始まる。
これだけでも衝撃なのだが、ここから始まる物語はさらなる衝撃であった。

それは、罪の意識のない人たちがここまでいるのかということ。
「老人の『死に金』を社会に還元する義挙」
という、意味不明な理論のもとに犯罪が正当化されていく。
いったいなんなのだろうか。

問題はもうひとつあって、その犯罪に手を染める人に若い子が多いということ。

その若い子の多くは、自身の生活に行き場を失い、
犯罪を犯すことで認められていく生活に居場所を見つけている。
挙句の果てにはその生活がなんだか楽しいとも言う。

でも人が暴力を振るわれるところを見ることで、
我に返ることはあっても、また元の生活に戻ってしまっている。

検挙されるのは「受け子」がほとんどなのに、足を洗えない。
洗おうとすれば、脅しがあって、やはり抜けられない。
入ってしまった人を何とか救う仕組みが必要だ。

それにしても、桃井かおりの演技が巧み過ぎて見とれてしまった。
裁判の証人として、最初の詐欺のことについて語るシーンは圧巻。

NHKだからできた高品質の作品だった。